教えてドクター2022<page3>

<街のかかりつけドクター企画

毎回各専門医のドクターに登場いただき日頃の暮らしの中で気をつけることや

疑問に思うことをコラム形式でご紹介いたします。

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【第1回〜第15回】の掲載分の2020年度の教えてドクター記事はこちらのページです→教えてドクター2020




【第33回】

2022年6月18日掲載

佐野内科医院

佐野 公昭 院長

1984年岩手医科大学卒業。89年北海道大学大学院修了。日本内科学会認定総合内科専門医。日本消化器病学会認定消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。医学博士

 

佐野内科医院

札幌市中央区南5条西15丁目1-6

http://www.sanonaika-clinic.com

運動不足,ストレスは痛風,高尿酸血症の大敵

コロナ禍で患者増,痛風と高尿酸血症

 

 「風が吹いても痛い」ほどの激痛が足の親指の付け根などを襲うことからその名前がつけられた「痛風」。患者数は増加を続けていて国内で110万人を超えると推定されています。コロナ禍の在宅勤務や外出自粛で運動不足になったり、食生活が乱れたりすることが原因となり、痛風や痛風につながる「高尿酸血症」の患者数が2~3割増加しているとの調査結果も報告されています。

 血液中の尿酸の値は健康診断などで知ることができます。1デシリットルあたりの血清尿酸値が7ミリグラムを越えると高尿酸血症といいます。

 血液中の尿酸値が高い状態が続くと関節などに尿酸がたまり、結晶化します。結晶が関節の中ではがれ落ちた時、白血球が結晶を異物と認識して攻撃し炎症を生じます。このとき関節の痛みや腫れ、発赤、熱感などの症状を起こします。これが痛風の発作です。多くは足の親指の付け根で起こりますが、膝や肘、かかと、手の関節に現れることもあります。痛風は男女差があり、中年以降の男性に圧倒的に多い病気ですが、近年は閉経後の女性の発症も増えています。

 尿酸が高い状態のまま放置していると、痛風になるだけではなく、慢性腎臓病、高血圧症、冠動脈疾患、脳卒中、心房細動、メタボリックシンドローム、非アルコール性脂肪肝炎、糖尿病などのリスクも高くなります。尿への排泄も多くなるため尿路結石になる頻度も高くなります。

 肥満症やメタボリックシンドローム、高血圧症などの基礎疾患があるとそれだけでも尿酸値が高くなり、糖尿病や高脂血症など他の生活習慣病を複合的に合併するリスクも高くなります。ガイドラインではこうした基礎疾患のある方や自覚症状がなくても長年尿酸値高値を指摘されている場合も治療を勧めています。

 

病気の治療・予防のコツ,生活習慣の見直しが重要

 

 痛風の治療は、発作を起こして痛みのある間は痛みを抑える消炎鎮痛剤などにより、痛みと炎症を抑えます。痛みが落ち着いてから発作の原因となる尿酸値を下げる治療を始めます。急に尿酸値を下げると発作が起きることがありますので少しずつ下げるようにします。血液の尿酸値が下がっても関節の中の尿酸や結晶はなかなかなくならないので低めの尿酸値(1デシリットルあたり6ミリグラム以下が目標)を長期間維持するようにします。

 尿酸値を下げるために大切なのは生活習慣の見直しです。肥満、アルコールの飲み過ぎ、食べ過ぎ、運動不足、ストレスは痛風、高尿酸血症の大敵です。プリン体の多い食品やアルコールは控えるようにしましょう。果糖やキシリトールも尿酸値を上昇させますので控えるようにしてください。それとは逆にコーヒー、チェリー、ビタミンC、低脂肪の乳製品は痛風リスクを低減すると報告されています。

 薬も最近種類が増えました。体内で尿酸が作られるのを抑える薬と、体内から尿への尿酸の排泄を促進する薬があります。患者さんの病態にあわせて薬を選択し少しずつ尿酸値を下げていき、目標を維持します。内服を中断すると再発したりしますので自己判断でやめたりせず治療は長く続けてください。



【第32回】

2022年5月20日掲載

札幌IBDクリニック

田中 浩紀 院長

1999年札幌医科大学卒業。日本消化器病学会認定消化器病専門医。日本消化器内視鏡学会認定消化器内視鏡専門医。日本大腸肛門病学会認定大腸肛門病専門医。医学博士

 

札幌IBDクリニック

札幌市中央区南19条西8丁目1-18山鼻ドクタータウン2F

https://sapicl.com/

腹痛や下痢が続く時は早期診断・治療を

年々増え続けている指定難病の「IBD」

 

 IBDとは大腸や小腸など消化管に慢性の炎症が起きる病気の総称です。日本語では「炎症性腸疾患」と呼ばれています。IBDには「潰瘍性大腸炎」と「クローン病」という2つの病気があり、主な症状として腹痛や下痢、血便などをきたします。潰瘍性大腸炎は主に大腸に炎症が生じる病気ですが、クローン病は小腸や大腸のほか、口からお尻まですべての消化管に炎症が生じる可能性があります。

 すぐ命にかかわる病気ではありませんが、放置していると症状が悪化し、下痢がひどい場合には1日20回以上トイレにかけ込むこともあるほどで、生活の質に大きく影響します。

 潰瘍性大腸炎とクローン病はともに厚労省の指定難病(特定疾患)です。病気の詳しい原因は解明されていませんが、遺伝的素因があり、そこにいくつもの複雑な環境因子が加わり、免疫異常を起こしていると考えられています。IBDに苦しむ患者さんは年々増え続けており、最新の疫学調査によると潰瘍性大腸炎は約22万人、クローン病は約7万人いるとされています。決してまれな病気ではなく、特に潰瘍性大腸炎は指定難病で最多の患者数です。

 

早期診断・治療が重要“繰り返す症状”は専門医へ

 

 IBDは症状が落ち着いている状態(寛解)と悪化している状態(再燃)を繰り返し、慢性の経過をたどる病気です。未だ完治させる治療法が見つかっていないため、発症時(診断時)に症状がある場合は適切な治療によって「寛解へ導く」こと、そして、適切な治療を継続することで再燃をコントロールし、「寛解を維持する」ことが重要です。長期にわたり寛解の状態を維持することができれば、外出時の度重なる便意など日常生活に不安を抱えることなく、安定した毎日を送ることが可能になります。

 そのために重要なのが「早期診断・早期治療」です。早期に診断できれば、使える薬剤など治療の選択肢が広がり、また、治療が早ければ早いほど患者さんの生活の質を落とさないような治療効果が期待できます。ただし、IBDは個々の患者さんによって病状が多様で、ほかの消化器疾患と似た症状も含むため、比較的診断が難しい病気です。実際にIBDと診断されるまで時間がかかり、病院を転々としていた患者さんも少なくありません。腹痛や下痢、血便などの〝おなかの症状〟が続く場合にはIBDの可能性があるため、この病気の診療経験が豊富な医師や病院にかかることをお勧めします。

 

適切な治療の継続で難病でも普通の生活を

 

 難病になると普通の社会生活を営めなくなるというイメージがあるかもしれません。しかし、IBDにおいては検査や治療が目覚ましく進歩し、一人ひとりに合った正しい治療と日常生活の工夫により症状を抑えられれば、病気になる前とほとんど変わらない生活を送ることができます。実際に多くの患者さんが進学、就職、結婚、出産など人生の大切な節目も安定して乗り越えています。難病ではありますが、必要以上に恐れる必要はありません。

 何よりも大事なのは、治療により一度寛解状態になっていても自己判断で通院や服薬を中止・中断せず、再燃を予防するために適切な治療と定期的な検査を継続的に受けることです。こういった病気に対する正しい知識をもって、信頼できる医師と共に二人三脚でIBDに立ち向かっていってほしいと思います。



【第31回】

2022年4月22日掲載

医療法人 喬成会 花川病院

菅沼 宏之 院長

北海道大学卒、日本リハビテーション医学会認定リハビリテーション科専門医、日本摂食嚥下リハビリテーション学会認定士

 

医療法人 喬成会 花川病院

石狩市花川南7条5丁目2番地

http://kyouseikai.jp/hanakawahp/

重要性が増す回復期リハビリ

急性期と回復期、維持期のリハビリ

 

 多くの方は「リハビリテーション(以下リハビリと略します)」という言葉はご存知でも、急性期や回復期、維持期のリハビリとは何か、まだあまり知られていないと思います。

 リハビリ医療は、患者さんの回復の経過によって3段階に分けることができます。治療後すぐの「急性期」、生命の危機を脱した「回復期」、退院してからの「維持期」です。リハビリは段階によって適した訓練をすることで最大限の効果が得られます。

 急性期のリハビリは発症直後から開始され、生命の危機を脱して全身状態が安定するまで行われます。過度の安静を続けると脳卒中が治療できても、手足の関節拘縮(こうしゅく)や筋力低下などで寝たきり状態になる危険があるためです。 回復期のリハビリは、全身状態が安定した2、3週間後から6カ月ごろまで、リハビリ専門病院に転院、もしくは回復期病棟に移って行われます。急性期を過ぎて後遺症が残った場合に、それぞれの障害に対して集中的なリハビリを行います。後遺症が残存した人には最も回復が期待できる時期でもあります。

 維持期のリハビリは後遺症がある程度まで回復した段階で、在宅療養か施設に入所して行われます。在宅療養、施設入所のいずれも主に介護保険を利用し、継続したリハビリが行われます。

 

重要性が増す回復期リハビリ

 

 脳卒中や転倒による骨折は、高齢者が寝たきりになる主な原因です。回復期リハビリは、これらの病気やケガの発症直後から、日常生活に復帰することを目指して行われます。以前は「手術後は安静第一」と考えられていましたが、世界的に研究が進む中で「手術直後でも起き上がって動いた方が回復は早い」ということが明らかになっています。在宅復帰に効果を上げるためには、回復期リハビリを少しでも早く集中的に行うことが非常に重要です。

 患者さんの病状や要望、生活背景などに応じて個別に目標が設定され、一人ひとりに合わせたリハビリ計画を立てます。医師を中心に他職種が密接に連携するチームアプローチが不可欠です。医師、看護師、リハビリ専門職、管理栄養士、薬剤師、医療ソーシャルワーカーらが連携して一つのチームとなり、在宅生活というゴールに向けて患者さん、ご家族とともに前身していきます。入院から在宅まで切れ目なくリハビリを提供する「シームレスリハビリテーション」が大切です。

 

日々進歩を続けるリハビリ医療の未来

 

 近年、リハビリ分野は飛躍的な進歩を遂げ、新しい治療法が数多く開発されています。リハビリによりその患者さんに残された機能を強化するだけでなく、障害のある部位・領域にはよりますが失われた機能の回復・改善も期待できるようになってきました。支援ロボットを用いるリハビリも新しい治療法の一つです。すべての患者さんに有効というわけではありませんが、従来のリハビリと比べ、より安全性・効率性の高い治療・ケアが可能となり、回復速度の向上や機能改善につながっています。

 医療現場は日進月歩です。今はまだ「不治の後遺症」も近い将来に「治りうる症状」となる日がやってくるはずです。私たちリハビリ医療関係者も日々学び、進化し続けることを望んでいます。



【第30回】

2022年3月20日掲載

医療法人社団正心会

岡本病院

鈴木 志麻子 医師

精神保健指定医・日本精神神経学会精神科専門医・医学博士

 

医療法人社団正心会

岡本病院

札幌市中央区北7条西26丁目3番1号

http://www.okamoto-hp.com/

不眠と睡眠薬

不眠・睡眠障害、原因を探り治療

 

 なかなか寝付けない、夜中や早朝に目が覚める、ぐっすり眠った感じを得られない…といった睡眠に関する悩みを抱える人は成人の2〜3割に上ります。高齢になるほど増えますが、夜遅くまでパソコンやスマホを操作する若い世代でも目立ちます。不眠の主な原因としては、精神的なストレスの存在、うつ病や睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など何らかの病気、薬の副作用の不眠の他、若い方の場合には人間に本来備わっている体内時計を無視した生活リズム、高齢者の場合には日中の活動性の低下や、そもそも加齢による睡眠時間の生理的な減少なども関係します。「とりあえず薬を」の前に、これらを見落とさないことが重要です。

 

 

睡眠薬の分類とその特徴、新薬も登場

 

 不眠の治療に病院で使用される睡眠薬は「ベンゾジアゼピン受容体作動薬/非ベンゾジアゼピン受容体作動薬(以下、ベンゾ系/非ベンゾ系)」「メラトニン受容体作動薬」「オレキシン受容体拮抗薬」に大別されます。

 ベンゾ系/非ベンゾ系睡眠薬は、不眠治療、精神疾患の治療において本邦では広く使われており、鎮静作用や抗不安作用などにより脳の働きを休ませて眠りへ導きます。ただし、健忘やふらつき、認知機能への影響などの副作用、長期使用に伴う依存性などの側面もありますので、一時的な使用にとどめる、あるいは慎重に使用する必要(特に高齢者)があります。なお、睡眠薬は急にやめると一時的に不眠が悪化することが多く(反跳性不眠)、その場合は少しずつ減量してからやめる工夫が必要です。

 ほかの2剤は比較的新しい薬で、メラトニン受容体作動薬は眠りをもたらすホルモンのメラトニンと同じような働きをし、体内時計に働きかけ、睡眠・覚醒リズムを調節して眠りへ導きます。オレキシン受容体拮抗薬は脳の覚醒を維持する神経伝達物質の働きを抑えることで眠りに導きます。これらの睡眠薬は副作用や依存性が少ないため、高齢者にも使いやすい特徴があります。

 睡眠薬は治療や生活の助けになりますが、いずれはやめることを意識することも大切です。生活習慣・リズムを見直す、睡眠関連の情報を集め実践する、医師とよく相談して副作用の少ないタイプに切り替える・量を減らすなど、できることから取り組んでみましょう。なお、「睡眠薬は怖い」と敬遠される方もおりますが、正確な知識を得て、必要な時に必要な量を使用するのであれば怖いものではないことも、ご理解いただきたいと思います。

 

 

健康のための睡眠習慣を

 

 最後に、質の高い睡眠のための方策をいくつか紹介します。▽毎日決まった時刻に起床▽朝日を浴びて体内時計をリセットする▽日中の適度な運動習慣▽就寝前の飲酒、喫煙、夕方以降のカフェイン摂取を控える▽寝る90分前にぬるめの入浴▽ベッドの上でだらだらとスマホを操作しない、などを心掛けましょう 

 不眠の背後にうつ病や統合失調症などの病気が隠れている場合もあります。長引く不眠とともにメンタルの不調がある場合には、早めに精神科、心療内科などの専門医を受診することをお勧めします。



【第29回】

2022年2月20日掲載

医療法人社団

アスクトース 石丸歯科

近藤 誉一郎 院長

1990年鶴見大学歯学部卒業。同大学第II補綴学講座研修後、東芝病院歯科口腔外科医員、同病院歯科口腔外科医長などを経て、2011年より現職。医学博士(東京医科大学)

 

医療法人社団

アスクトース 石丸歯科

札幌市中央区南1条東2丁目南1条

タカハタビル6F

https://www.ishimaru-dc.com/

歯ぎしりの原因と治療

長引くコロナ禍で歯ぎしりが増加傾向

 

 朝起きると歯や顎(あご)が痛く、口の周囲がこわばっている。歯が欠けたり割れたりする。詰め物がよく外れる。──といった症状はありませんか? それは、歯ぎしりが原因かもしれません。

 歯ぎしりには、寝ている時に、無意識のうちに歯をかみ締めたり、擦り合わせたりする「睡眠時プラキシズム」と、日中の起きている時間帯にも無意識に歯を食いしばったりかみ締めたりする「覚醒時プラキシズム」があります。

 遺伝や睡眠の質の低下、薬の副作用、アルコールやカフェイン、喫煙の影響など、要因はいくつか考えられますが、明確には分かっていません。仕事や日常生活で過度のストレスを抱え込むことも関わっていると考えられています。コロナ禍が長引き、人との付き合いやレジャー・旅行・スポーツなどの趣味が制限される生活が続いてストレスが溜まっている方も多いようで、そのことが原因とみられる歯ぎしりの発症や悪化が目立ちます。

 

歯ぎしりは危険サイン歯周病悪化など招く恐れ

 

 歯ぎしりをしている頻度を調べた調査(歯ぎしり音を自覚しているケース)によると、小児は10〜20%、成人では5〜8%、高齢者は2〜3%に歯ぎしりが発生しています。年をとるとともに徐々に減っていく傾向にあり、男女間で大きな差はないとされています。

 睡眠時の歯ぎしりは、覚醒時の歯ぎしりよりも強いといわれており、歯牙や歯周組織、顎の筋肉や関節に大きな負担がかかります。自覚症状がない人も多いですが、歯ぎしりを放置していると、歯の表面がすり減ったり、歯の根元が欠けたり、歯や顎、頭に痛みを感じたり、顎関節症の原因になったりすることがあります。また、歯周病が悪化したりする人や、歯の被せ物や健全な歯をも破損する人もいます。歯ぎしりは健康を脅かす危険なサインの一つとしてとらえ、早めに対処することが大切です。

 

 

保険適用の簡単な検査で正確な診断が可能

 

 歯ぎしりの自覚や歯のすり減り具合、同居家族からの指摘、起床時の歯や顎の痛みなどの症状から歯ぎしりを診断することも可能ですが、睡眠時の歯ぎしりはそれだけでは正確性にやや欠ける場合もありました。

 近年、睡眠中の顎の筋肉の筋電図を記録・解析し、その結果により歯ぎしりの有無や程度を診断する検査が登場し、2020年4月から公的医療保険が認められています。自宅に「携帯型筋電計」という装置を持って帰ってもらい、就寝時に装着するだけの簡単な検査ですが、客観的なデータに基づいた正確な診断ができるようになりました。

 

マウスピースで摩耗抑える生活

睡眠習慣改善も重要

 

 治療は、歯科医院でプラスチック製のマウスピースを作り、睡眠時に装着してもらうのが一般的です。歯にかかる圧力を和げ摩耗を抑えます。不安的な睡眠が歯ぎしりを誘発しているケースも多いので、睡眠衛生や生活習慣改善の指導を行います。また、ストレスの要因を見極め、自分なりのストレス対処方法を身に付けられるようアドバイスもします。日中の歯ぎしりに対しては、無意識の食いしばりなどの癖を改める訓練や指導で治療していきます。

 歯ぎしりによる歯の破損は意外に多く、歯ぎしりの強さによっては歯を失う原因にもなりえます。家族など周囲の人に頻繁に指摘されたり、顎の周囲にだるさを感じたりしているなら要注意です。一度かかりつけ歯科医に相談してください。



【第28回】

2022年1月20日掲載

医療法人 藻友会

いしやま形成外科クリニック

石山 誠一郎 院長

日本形成外科学会認定形成外科専門医。北海道大学形成外科客員臨床講師

 

医療法人 藻友会

いしやま形成外科クリニック

札幌市中央区南15条西11丁目2-6

http://www.ishiyama-keisei.com/

ほくろ除去について

コンプレックスにもなる徐々に大きくなるほくろ

 

 ほくろは、医学的には母斑(ぼはん)細胞性母斑あるいは色素性母斑という病名がある皮膚良性腫瘍です。黒いメラニン色素を産生する母斑細胞が増殖したもので、徐々に大きくなる特徴があります。特に顔の正中線付近(おでこ、鼻、あご)のほくろは、40代以降に大きく盛り上がるケースが多く、見た目のコンプレックスにつながることもあります。

 

ほくろの除去の治療法は[レーザー]と[切除縫合]

 

 ほくろ除去に際しては、大きさが直径2㎜以下で皮膚の比較的浅い場所にあるものであれば、炭酸ガスレーザーによる蒸散が適しています。専用機械による特殊な光を肌の表面に直接照射し、皮膚に含まれる水分を蒸散させ、それによりほくろの原因となる母斑細胞を焼き切る治療法です。ほくろが大きく盛り上がり、皮膚の深い場所にも存在している場合は、手術による切除縫合を行う必要があります。

 患者さんの中には「レーザー治療は傷あとが残りにくく、切って縫うのは傷あとが残りやすい」と思っている人がいるかもしれませんが、一概にそうとはいえません。小さいほくろであっても、ほくろのある場所によっては、レーザー治療よりも「くり抜き除去」という手技や「巾着縫合」といった特殊な縫い方を用いた方が傷あとを目立たないように治療ができ、再発のリスクも回避できる場合があります。形成外科医とよく相談しながら治療法を検討してもらいたいと思います。

 

命にかかわる危険なほくろに要注意

 

 ほくろが急に大きくなったり、色や形が変化したりする場合は、皮膚がんの可能性も考えられますので、放置せずに一度形成外科にご相談ください。通常ほくろは良性で、がん化しませんが、一見ほくろのようにみえるがんがあります。ごく小さな初期のものではほくろと見分けることが難しく、医師でも判断に迷う場合があり、注意が必要なほくろは組織を病理検査して診断します。

 ほくろ除去を希望される人は、創傷治療(けが、傷、傷あとの治し方)だけでなく、皮膚悪性腫瘍に精通した形成外科を受診することをお勧めします。

 

ほくろなど皮膚のできものは、まず形成外科に

 

 私たち形成外科医は「手術が必要な体表面の異常を、できる限り外見に気を配りつつ治療する」ことを専門にしています。機能的な面のみならず、整容面も十分に考慮しながら手術・治療を行います。

 ほくろの除去もそうですが、皮膚のできものや傷などをいかにきれいに、傷あとが目立たないように取ったり治したりできるかは、形成外科医の経験と技量の差が出やすい分野です。確かな知識と技術、きめ細やかな工夫が求められます。治療の相談をご希望の場合は、一つの目安として形成外科専門医が在籍する医療機関を選ぶのがいいと思います。

 ほくろの除去を希望する方は、治療の効果や各治療法のメリット・デメリット、費用などについて、ぜひお近くの形成外科へご相談ください。